ハンドメイドの価値
2019/07/08
ハンドメイドの価値
TシャツからTシャツヤーンのアップサイクル活動を始めて、
3年目を迎えますが、当初から違和感があった事があります。
それは
ハンドメイドの価値です。
マスプロダクションとの差別化
私が長年携わったアパレルでのお仕事は
機械化され、効率化され、合理的に大量生産する事で価格ダウンを図ります。
一方でハンドメイド作品は手作業で一点一点製作に時間をかけ、
一つづつ心をこめて作ります。
海外でも手芸品、工芸品やハンドクラフトと呼ばれる作品も多くありますが、
基本的に価値観が高いです。
それは機械化され量産化されたモノとは明らかに異なる価値観が見いだされて
いるからです。
また機械化されたモノはある一定のスキルがあれば商品に差が生じませんが、
ハンドメイド、ハンドクラフトは明らかに技術の差により作品、商品に差が出ます。
それに製作時間以外のデザインを考えたり、構成を考えたりと
クリエーティブな時間も必要です。
折角考えたデザインも意匠権などでデザインが保護されていないので、
SNSにアップすればすぐに模倣される。
それこそ
ここでもエシカル(倫理的、道徳的)ではない行為が行われています。
*法的には問題のないことかもしれませんが…
私が違和感を感じるのは
何千、何万枚と機械化され大量に生産されたモノの価値と
1点づつ手作業で作ったモノが同じ価値観、若しくはそれより低い価値感の
位置づけにあると言う事。
この事は海外から来日する友人もとても共感してくれ、とても驚いています。
そもそも日本の物価の安さに驚くことも多いですが…
誰が言ったのか?「ハンドメイドは安い」
これは明らかに間違えた価値観です。
ハンドメイドこそ安さを求めるのではなく、価値を求める
消費のあり方になるべきだと思います。
*私は作家ではないのでこの主張はしやすい。作家さん自らはなかなか言えないですもんね!
適正な価格なの…
知り合いでも多くの作家さんがいらっしゃいますし、
もちろん糸をご使用下さるハンドメイド作家さんも多くいらっしゃいます。
長年、モノづくりに携わってきたので、原価構造をすぐに頭の中で、
シュミレーションしてしまう悪い癖があり…
そうするとどうしても販売価格と見合わないと思ってしまうものが、
多くあります。
例えば
材料費:175円
製作時間:10分(時給を900円としても)→加工賃:150円
販売・決済手数料販売価格の5%:25円(本来は経費として)
原価:350円
販売価格500円 利益率30% 利益150円
150円も利益が出た。と思うかもしれませんが、
それこそ大量生産できない手作り品では見合わない価格設定
だと思います。
これ以外のデザインに対する付加価値(デザインを考える時間)
サンプル作成にかかる費用と時間や材料費のロスなどは加味していない
シュミレーションです。
また一般的に商品が100%売れると言うのは難かしいと言われています。
消化率が70%越えると売れ筋商品と言われていますが、
現実的には値下げせず60%越えるのは難かしいと言われています。
仮に先程のシュミレーションに消化率70%を加算すると
原価350円×10個=仕入原価3,500円
販売500円×7個=売上金額3,500円
この場合、消化率が80%越えて始めて利益が発生。
つまり消化率80%が採算分岐点になります。かなり高いハードルです。
自ら製作しているので、加工賃としての人件費も利益ではないか?と
言う考えも出来ますが、これはあくまでも仕入原価として見ておくのが
妥当だと思います。
更にどこかに出店して出店費用をかけている場合は
利益率がもっと必要になると思います。
チラシやフライヤー作成すると更に経費がかかります。
仮に売上利益で利益が出ても、販管費を差し引いた
営業利益ではマイナスとなります。
低利率でも回転率が上がれば利益を確保できる方法もありますが、
基本的に大量生産の出来ないハンドメイド品には向きません。
マーケットニーズに適応した価格設定をしなければ、
当然販売する事は出来ませんが、販売しても利益が出なければ継続する事は
出来ません。
受注生産なら別のお話ですが、
在庫を持つと言う事はとてもリスクの高い事なので、価格の設定認識は必要です。
「趣味だし、喜んでもらえれば良い」と言う方も多くいらっしゃいます。
素晴らしい事だと思います。
それが一つの楽しみであれば良い事ですよね!
でもやっぱりハンドメイドの価値としては高めたいですし、
適正な価格として販売される方がより楽しみが増え、
価値が認められればより創作意欲が増し、何より継続する事ができます。
WAcKAでは少しでも作品に高付加価値がつくように
資材そのもののレベルアップはもちろんその生産工程においても
フェアで安全なモノづくりを心掛けて行きたいと思います。
最大の違和感
アパレル業界にいた為、
その環境での常識として捉えてしまう事が多いので、
間違えた捉え方なのかもしれませんが…
使用する原材料、資材の価格がオープンになり過ぎている。
これにはとても衝撃を受けました。
ここにも価格を安くせざる負えない理由が存在している気がします。
高くて良質な資材を使用している場合はアパレル業界でも付加価値を
生み出す為にあえて使用している素材や資材を告知する事はあります。
しかし
一般的な素材、資材を使用している場合、その事を詠う事はありません。
そもそも素材や資材の価格が世の中に知られている事はありません。
使用する素材や資材を告知する事でメリットがあるのは、
素材や資材を提供する側だけです。
WAcKAとしてもとても有難い事です。
しかし作家さんの立場に立つと複雑な想いになります。
また同じ資材、素材でも流通のポジションにより価格が異なると言うのも
常識的です。
大きく分けると卸価格、小売価格が存在します。
例えば
・個人の趣味でご使用になる方
・作家さんとして販売用途としてお使いになる方
・お教室の材料としてお使いになられる方
・自社店舗の販売商品として仕入される方
しかしこのSNSが普及した世の中では小売価格以外の価格が
普通にテキスト化されPostされているのには驚きます。
WAcKAでは
このような事でお仕事として販売されている作家さん、お教室さんに
デメリットが生じないよう、SNS上での販売価格の公表を差し控えさせて
頂いております。
*iTToとiTTo 椿の小売価格に関してのみ公表しております。
iTToヤーンが様々な用途の方それぞれにとって
高付加価値のある作品作りのお役に立てることを願います。
Tシャツを愛し、Tシャツに愛された男
繊維業界に長年勤め、
バングラデッシュやベトナム駐在を経て、
環境問題や社会問題に関心を持ち、
現在の活動をスタート。
マスプロダクションと安さ依存からの脱却を
アップサイクルを通して実現を目指す。
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