相場価格=適正価格ではない⁉~低価格・大量生産時代に向き合う価格の真実~
2025/01/31
相場価格=適正価格ではない⁉
~低価格・大量生産時代に向き合う価格の真実~
大手チェーン店に衣料品を納品していた。
その昔、プリント入りのTシャツは、3,980円で販売していた。
そしてそのあと掛け率40%で納品
最終的には、1,980円まで販売価格が下がった。
掛け率は25%で納品する事を求められた。
受注するには、人件費の安い国で、大量に作って、この販売価格と掛け率に合う仕組みを構築するしかなかった。
そして販売価格が下落することに、より人件費の安い国を渡り歩く
物作りの本質から離れた間違えた道を歩実続けた。
その後は、どうなったか知らない。
もう15年以上前のお話
ほんとにいつも思う。
販売価格って何なんだろう!
だって売りたい価格や売れる価格で決まるわけです。
競合他社より高いと売れない。
そりゃー安いに越したことはないし、安い方が買ってもらえるかもしれない。
つまりこれが相場価格という発想
この商品は、他社では1,000円で売ってるから、うちは980円じゃないと売れない。
この時点で付加価値を下げている訳だから、『勝負あったり』という気がしますが...
とにもかくにもこの相場価格で、売値が決まる。
ほとんどの場合、原価がいくらだから、販売価格は少なくともこれぐらいで売らないといけないという思考ではなく、この値段でしか売れないから、原価はこれぐらいじゃないと...
つまり作り手側は、いつもこの相場価格によって適正価格を奪われる。
相場意識の強さと適正価格の軽視
日本では「みんながこれくらいで買っているから、これが適正」という感覚が根強く、適正なコストや利益を踏まえた価格設定が難しくなる傾向にあります。
特にBtoBの取引では「相場より高いと受注できない」という圧力が強く、適正価格が後回しになりがちです。
価格競争の激化と価値の喪失
相場意識が強すぎると、企業や個人が「相場に合わせること」を優先し、原価や付加価値を考慮しない価格設定になってしまいます。
結果として、「安くしないと売れない」という悪循環が生まれ、利益が圧迫されます。
その結果、品質の維持が難しくなり、最終的に本来の価値が損なわれることがあります。
適正価格を意識することの重要性
本来、適正価格とは「原価+適正な利益+価値提供」に基づいた価格
しかし相場意識が強すぎると「安くすること」が目的化し、本来の適正価格の概念が希薄になります。
適正価格を意識することで、企業も持続的な利益を確保でき、消費者も品質の良い商品やサービスを享受できるはずなのですが...
適正価格を定着させるためには?
• 価値を正しく伝えること:単なる価格競争ではなく、「なぜこの価格なのか?」を説明し、納得感を持ってもらうことが大切
• 消費者教育:「安さ=お得」という意識を変え、適正な価格の重要性を伝える
努力も必要です。
• 長期的な視点での価格設定:目先の競争だけでなく、持続可能なビジネスモデルを構築することが重要です。
→消費者だけではなく、消費者と直接的に触れ合う販売や営業がものづくりへの理解が不足しているのも大きな要因
いまだにボタン一つで、決まった納期に商品が簡単に納品されると思っている人が多い
だから付加価値を価格に転嫁できない。(ちょっと愚痴)
総じて
日本では「相場=適正価格」と思われがちですが、本当の適正価格は「価値に見合った価格」であるべき
この意識を変えない限り、良いものが正当な評価を受けず、結果的に産業全体の衰退につながる可能性もある。(実際にそうなっている)
どうすれば相場価格から抜け出し、適正価格が、デフォルトになるのか?
最近はそんな事ばかり考えています。
こんな発想も面白いかと...
相場を「可視化」せず、流動性を持たせる
【発想の転換】相場が「見えるから」人はそれに合わせようとする
→ 逆に相場を曖昧にする
• 通常のECサイトや取引では価格が明示されるが、例えば「オーダーメイド価格」にすることで、適正価格の概念を導入できる。
• 「相場を提示しない」システムを作り、消費者に価値を考えさせる
(例:メニューに価格を載せない高級レストランのように)
• 「オークション形式」や「バンドル販売」を導入し、価格を一定にしないことで
適正価格を模索する。
2. 価格決定を消費者に委ねる
【発想の転換】売り手が価格を決めるのが当たり前
→ 買い手に決めさせる
• 「後払い&適正価格を購入者が決める」
モデルを試す(例:「この商品にいくら払いたいですか?」方式)
• 「満足度に応じて価格が変わる」仕組みを導入
(例:サービスを受けた後に価格を決定)
• 「サブスク型の価格設定」
単発購入ではなく継続的な関係性で適正価格を確保する
3. 価格と価値の関係を「体験」で理解させる
【発想の転換】価格と価値は事前に決まる → 価格と価値は体験によって変わる
例えば、同じ商品を異なる価格帯で提供し、消費者自身に違いを体感させる
(例:「500円のコーヒーと1000円のコーヒー、何が違う?」)
「価格が変動するイベント」を開催し、同じ商品でも状況によって価格が変わることを理解させる(例:天候や需要によって価格が変わる屋台)
「無料で提供し、後から価値に応じた対価を払う方式」もあり得る
(例:アーティストの投げ銭ライブ)
4. 価格競争ではなく「別の競争」にシフト
【発想の転換】価格競争が前提 → 価格以外の価値で競争させる
• 「価格以外の指標(エコ度、手作り度、希少性)を競わせる」ことで、相場意識
から脱却
• 「価格ではなく、ストーリーや職人の想いを前面に出した販売方式」にする
• 価格以外の要素(例えば「購入者の社会貢献度が上がる」「購入で植樹される」
など)を取り入れ、価格の直接的な比較をしにくくする
5. 価格を「変動型」にして固定概念を崩す
【発想の転換】価格は固定されるもの → 価格は変動するもの
• 「天気や時間帯、需要によって価格が変わるシステム」を導入する
(例:夜は安く、朝は高く)
• 「購入するたびに価格が変わる」
消費者が相場ではなく価値を考える習慣をつける
• 「購入者の属性によって価格が変わる」
(例:リピーター割引、新規客プレミア価格)
相場意識を打破するには、「価格の固定概念」を崩すことが鍵
相場意識が強すぎるのは、「価格はこうあるべき」という固定観念が強いから
これを打破するには、価格決定の方法や仕組みを根本から変え、消費者に「価格は流動的なものであり、価値次第で変わる」という認識を持たせることが重要です。
そもそも衣料品の原材料は、天然繊維にしても、合成繊維にしても相場変動があるものなのに商品は変動しないのも変ですよね!
そして私たちが取り組んでいる
『物作りの体験こそ本当の物の価値を理解する唯一の方法』
私たちは、ワークショップを通して、楽しさはもちろん、難しさを学ぶ事で、
簡単に何でも安く手に入る時代に本当の物の価値を知る機会を演出しています。
特に日本は、世界に誇るモノ作りで、経済が発展してきました。
自らモノ作りに携わらないまでも、その理解をすることは必要不可欠です。
適正価格の理解は
難しい話よりも実際に手を動かしてみることが手っ取り早いかもしれませんね!
~@wacka_upcycle~
WAcKAでは、バングラデシュやベトナムでの駐在体験や繊維産業や社会福祉と関わりながら、感じたことを発信しています。
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