安くて便利が生み出した日本の間違えたモノの価値
2021/01/06
安くて便利が生み出した日本の間違えたモノの価値
先日、Facebookの投稿を見て、とても驚かされました。
その内容は
私がバングラデシュ ダッカに住んでいた時に家が近所だと言う理由で良く訪れていたレストランの宣伝広告
外国人が行くお店ではありませんが、現地の富裕層の学生たちが集う少しおしゃれなカフェレストラン
日本人の感覚からすると特別美味しいわけでも、サービスが良いわけでも、衛生的でもない。
そのレストランがある近辺の当時の風景 決して恵まれた立地の場所ではありません。
そんなカフェレストランのシーフードパスタが550TK+(現在1TK=¥1.21)
日本円にすると約665円
更に日本で言う消費税が15%かかるので、764円
これは高いと言う評価ではなく、逆に日本の物価価値の異常さの方に驚らかされます。
私は都内に出かけた時、昼食によく行くパスタ屋さんがあります。
そこの価格は500円 消費税を含めても550円です。
お昼時にはスーツを着たサラリーマンやOLが行列に並びます。さらに持ち帰りなら400円
衛生的で、お味もおいしく、サービスも良い
バングラデシュのお店と比較し、日本の経済や物価を正常化した場合、
764円と言う価格を基準とするのなら、2,000円以上の価格が妥当ではないかと言う気がします。
もちろんバングラデシュには一般的な現地の方が行くレストランはもっと安いですが、もはや私たちがアジアの最貧国として見ていた国の少しお金持ちの学生が食べるランチ代を東京の中心で働く会社員のランチ代が下回っていると言うのが現状です。
飲食店の経営に関してよくわからない中での意見になりますが、どう考えても食材も家賃も賃金もはるかに東京の方が高いと思います。
バングラデシュではサービスと言う概念がない為、店員も比較的ゆったりと働いています。
一方、日本では一度に大量に訪れるお客を親切、丁寧に対応し、価格だけではなく、サービス面でも満足させなくてはなりません。
結果的に労働に対する疲弊度は日本の方が高く、バングラデシュでは労働に対するストレスもなく、収益面でも高いのではないかと思います。
日本は世界第3位の経済大国でありながら、所得格差レベルはワースト8
この事実さえもほとんどの人が知りません。
私たちは、もはや本当のモノの価値を見失い、安さを求め、そして自分の価値すら安売りする国民性になってしまいました。
これらの原因を生み出した一旦は私が行ってきた経済活動の中にもあると考えています。
その原因とは、一体…
安さを求め、世界各国を渡り歩いた結果…
私が社会人になった1998年はすでにバブルは崩壊していましたが、まだバブルの余韻が残る最後の世代
都内にも多くの縫製工場やセーター工場が稼働していました。
このころは私の実家でもある縫製工場も多くの仕事を抱えていました。
私も都内、新潟、山形、和歌山などの工場に製品の依頼をしていました。
ところが2000年を境に、韓国、香港、中国へと生産国が移り変わって行きました。
更に2006年頃からはチャイナプラス1が加速し、東南アジア・バングラデシュ、インドへと移り変わりました。
この渦の中にいた一人として思うことは、
各国での賃金の高騰が主な移管原因ですが、そもそも衣料を作ると言う事に対する賃金が高騰している=価値が上がっていると捉えるべきだったのではないかと言う事
そして
そもそも賃金が高騰したから、移管を迫られてのではなく、労働市場が飽和し、縫製工員を確保できないことに移管原因があると言う点が忘れ去られています。
日本にしても、中国にしても経済発展により、より魅力的な職業の選択肢が増えたから、縫製工場での従事者が減り、確保する事が困難になった。納期や品質を厳守する日本の体質に合わせる為には労働賃金の安さに加え、労働力の確保も課題であった。
賛否両論あるかもしれませんが、
『物の価値は作られた国ではなく、売られる国の物価で販売するべき』だと考えています。
低賃金の労働力を追い求め、原価を下げる事は企業努力でされている事だと思います。
しかしその原価下落に伴って、販売価格も下げる必要はないと考えます。
むしろその利益を社員に還元すれば、更なる消費を生み出し、経済が活性化するのではないでしょうか?
この行為こそが日本を後進国化させ、所得格差を広げている原因だと考えます。
更には
安く売る=多く売る必要がある→多く作る必要がある→多く残る可能性がある
→過重労働になる
この20年間
安さを求め、韓国・香港・中国・東南アジア・バングラ・インドと渡り歩き、その原因を作り出した一人である私が言えることではないですが、消費者は本来、安い商品を求めていたのではなく、買いたい商品を求めていた。
これが供給する側の今となっては取り返しのつかない大きな判断ミスであり、大罪
もはやモノの価格は安くて当たり前、むしろどこの国で作られていようが、衣料品は安いモノだと根付いている。
その証拠に安さを求めて渡り歩いた私ですら、現在の日本の縫製加工賃や衣料品製造に関わるコストは安すぎると感じます。
輸送コストや関税などを含めると製造枚数や作る商品によっては日本の方が安い場合すらある。
異常な状態に陥っている。
もうすでに取り返しのつかない状況に陥っているかも知れません。
しかし
その原因の種を撒いた責任の一端を担う私ができることは、間違いであったことを認め、その消費活動に歯止めを利かせる事だと思っています。
SDGs 12番目のゴール つくる責任・つかう責任
まさにこの達成こそが、安くて、便利が生み出した日本の間違えたモノの価値を見直すきっかけにも繋がります。
安いモノではなく、欲しいモノ
つくる責任の最低限の責任は価格訴求ではなく、欲しいと思うものを生み出すことにあると思います。
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