より良い物作りを持続可能にする唯一の方法~日本版サステナブルへの疑い~
2025/01/02
より良い物作りを持続可能にする唯一の方法
~日本版サステナブルへの疑い~
11月にベトナム ホーチミン
12月に日本国内の繊維産地をめぐり、数値化する事のできない現場の生の声と素直に感じたことを綴りたいと思います。
ベトナムには、2015年3月~2016年2月まで約1年間ホーチミンに駐在し、それ以前には出張で月に一度は訪れていました。
駐在していた1年間は、現地企業との合弁で、ベトナム中部でのTシャツ一貫工場の設立に携わっていました。
現地企業や韓国、台湾資本の工場と協業し、日本にカジュアルウェアーを輸出するのが主な役割
正直、私がやっていた役割は、細かな作業ではなく、人間関係、信頼関係の構築だったように思います。
今回、約8年ぶりに訪れたホーチミン
言うまでもなく経済は著しく成長しており、人口も日本を超え、2023年時点で約1億30万人
平均年齢も31歳と若く、日本の平均年齢は約49歳と比べ、約18歳も差がある
繊維産業も、近年著しい成長を遂げており、日本への輸出も増加傾向にあります。
ベトナムの繊維産業の成長
ベトナムの繊維・アパレル産業は、世界的な輸出リーダーへと成長
繊維製品はベトナムの主要輸出品目のひとつであり、2023年の輸出額でみると、輸出全体の約10%を占めています。
日本への輸出も自由貿易協定(FTA)の締結により、これにより、日本市場におけるベトナム製繊維製品のシェアは拡大*繊維製品の輸入の際、関税が掛からない
そんな中、8年ぶりに訪れたホーチミンで聞く生の声は、とても危機感を感じるものでした。
増え続ける過剰要求
駐在していた当時から、ベトナムだけではなく、バングラデシュでも、そして中国でも言われていたことですが、日本人の慎重さが招く意思決定の極端な遅さ
決断力
これについては、より深刻な信頼関係のもつれに発展しているように感じました。
また英語力の低さに加え、理解力の低下、そもそものコミュニケーション力の低さも
顕著になり、『会話にならない』とレッテルを貼られてしまっています。
また
・過剰な品質要求
・過剰な価格要求
・過剰な納期要求に加え、
近年のサステナブル思考へのシフトにより
・過剰な多品種小ロット要求
・過剰な環境整備要求
・過剰な労働環境要求
大量生産・大量廃棄が見直される世の中になったことで、そのほころびは、すべて工場の負荷になっています。
過剰な基準が設定され、その基準を満たさなければ、オーダーできない。
それ自体は悪い事だと思えないが、その改善に向けたコストは一切負担されず、すべてが工場の持ち出しとなっている
もちろん商品原価にも上乗せできる状態でもない。
『対応できなければ、他の工場で生産する。』というとどめの一言で、すべて解決される。
果たしてこれが持続可能な社会といえるのだろうか?
本音を言えば、『日本の仕事はしたくない』
日本のオーダーを受けなくても良いように他国との取り組みを強化する
そんな声を多く聞く。つまり日本離れが始まっています。
繊維製品の輸入が98%を超える日本において海外サプライヤーを失うことは
脅威でしかない。
ましてや現実的には少子高齢化や消費低迷など直面する経済状況の影響により
バイイングパワーの低下は明らかな訳で、それを見越した上でもサプライヤーとの
良好な関係性を築く事がマストだと思われる。
むしろ生産管理者にとって最も重要な役割ともいえる。
ぞんざいに扱われてきた日本の繊維産業
一方で日本の繊維産業の現状というと
・慢性的な人手不足
・賃金の安さ(最も年収の低い職業の位置づけ)
昨今、話題となっている103万の壁
主婦層が多く、最低賃金UPに伴い、扶養を超えない範囲で働く必要なある為、実質、働く時間に制限が加わり、人手不足に拍車がかかってしまっている
また海外からの研修生ですら、劣悪な労働環境や低賃金を回避する為、日本で働くという選択を避けている
これだけ産業が衰退しているのだから、逆に付加価値が生み出せるのではないかと思いますが、これまでアパレル企業からぞんざいな扱いをされて来た精神的なダメージは大きく、自信すら喪失してしまっているように思える。
主従関係から協力関係に!
繊維産業に関わらず、商品は売れなければ、元も子もないが、そもそも作れなければ、売ることもできない。
つまり作り手がいないと売り上げを作ることができない
その構造があるのに、なぜ大切にできないか? 理解に苦しむ
おそらく『変わりはいくらでもいる?』という発想なのだと思う
現実的には『もう変わりはいない』状況だと思いますが...
私は、長年の繊維産業に身を置く立場から、売り先と同じくらい仕入先を大切にすることを教えられてきました。
仕入先様との馴れ合いの関係性ではなく、対等な立場での協業の必要性を訴えてきました。
その考えは今回、ベトナムと日本の産地を巡り、確信に変わりました。
パートナーシップの再評価:
短期的な利益ではなく、長期的な信頼関係を重視する企業文化を育む
透明性と情報共有:
仕入先と適切に情報を共有し、共通の目標に向かって協力する姿勢
サステナビリティの重視:
企業が持続可能なビジネスモデルを目指す中で、仕入先との協働が重要性
日本企業が仕入先をより大切にするためには、経済的な視点と文化的な価値観を再考する必要があります。
『綺麗事では、飯を食えない。』と言われてしまえば、それまでですが、
ただ『自分だけが飯を食えれば良いのか?』とも思います。
傲慢な態度ではなく、謙虚な姿勢で、関係性を構築する必要性を感じます。
生産管理というポジションを長年経験してきて、マニュアルや仕組みの中に落とし込めない精神そのものが、より良いモノづくりを持続可能にする唯一の方法だと確信しています。
『数値化できないから、評価できない。』
数字でしか判断できない経営目線に、いかにわかりやすく数値化するか?が今後の業界を塗り替えるポイントかもしれませんね!
~@wacka_upcycle~
WAcKAでは、バングラデシュやベトナムでの駐在体験や繊維産業や社会福祉と関わりながら、感じたことを発信しています。
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